電子版と紙版で同じ原稿を使うときの修正管理

電子版と紙版を同じ内容で作る場合、本文の修正を片方へ入れた後、もう片方に古い説明が残ることがあります。
反対に、紙版だけのページ番号や余白の調整を、電子版の原稿へそのまま入れてしまうこともあります。
共通の内容と、形式ごとに必要な設定を分けると、どの修正を両方へ反映するかを判断しやすくなります。
ナガーノがこの記事で整理するのは、電子版と紙版の原稿、制作ファイル、確認結果を対応づける修正管理の方法です。
以下の版管理の例は架空で、実際の出版作業の完了報告ではありません。
同じ内容と、同じ見た目を分ける
同じ本文を使うことと、同じ改行やページ位置で表示することは同じではありません。
電子版は読む環境に合わせて表示が変わる形式もあり、紙版は印刷するページの配置を整えます。
そのため、内容の修正と、各形式の表示の修正を分けて考えます。
同じ説明を使う場合でも、ページ番号や図の参照の方法は見直す必要があります。
見た目の違いをすべて内容の違いとして扱わず、どの工程の変更かを確認してください。
共通本文の基準となる原稿を決める
本文の意味や事実を確認するための基準となる原稿を決めます。
基準の原稿は、どの版をもとにした内容か、いつ更新したかが分かるようにします。
電子版と紙版の作業ファイルをそれぞれ修正しながら、どちらが新しい本文か分からなくならないようにします。
実際の制作方法によって管理の仕方は異なりますが、共通の修正の根拠を一つにまとめられるかを検討します。
過去の原稿は保存し、変更前へ戻って確認できる状態を残しておきましょう。
基準の原稿を決めたことだけで、各版へ反映済みとは判断しません。
修正を三つに分類する
修正が見つかったら、共通の内容、電子版だけの設定、紙版だけの設定へ分けます。
誤字、事実の訂正、文章の追加は、両方へ影響する候補です。
電子版の目次リンクや表示の調整、紙版のページ番号や印刷の余白は、形式ごとの確認が必要です。
| 修正の種類 | 例 | 確認する範囲 |
|---|---|---|
| 共通本文 | 用語や事実の訂正 | 両方の本文と関連する案内 |
| 電子版 | 目次の移動先 | 電子版の制作ファイル |
| 紙版 | ページ番号の位置 | 紙版の印刷用ファイル |
一つの修正に複数の種類が含まれる場合は、作業を分けて記録します。
修正一覧に、両方の状態を残す
修正する場所、内容、理由、対象の版を一覧へ記録します。
電子版へ反映したか、紙版へ反映したかを別の欄にします。
片方を直したことだけで、修正全体を完了にしないようにします。
制作ファイルへの反映と、その後の表示確認も分けます。
原稿に変更を入れた段階では、完成ファイルや公開された版まで変わったとは限りません。
状態を細かく増やしすぎる必要はありませんが、未反映、反映済み、確認済み、公開状態を区別できるようにしてください。
図と表も、共通と個別を分ける
図の内容が共通でも、電子版と紙版では表示する大きさや配置が違う場合があります。
元の図を保存し、各版で使うファイルを対応づけます。
数値や名称を変えた場合は、両方の図へ影響するかを確認します。
紙版だけの色や印刷条件に合わせた加工を、電子版の元画像へ直接上書きしないようにします。
表を電子版で分割した場合は、共通の情報がどの表へ移ったかを記録しておきましょう。
同じ見た目にそろえることより、両方の読者が同じ内容を正しく確認できるかを点検してください。
ページ参照を、形式ごとに見直す
紙版にある「何ページを参照」という案内を、電子版へそのまま使えるとは限りません。
電子版では章名や図名、必要な内部リンクなど、読む環境に合う方法を確認します。
紙版ではページが変わった後に、参照先の番号が正しいかを点検しておきましょう。
本文を追加すると、紙版の後のページへ影響する場合があります。
電子版でも章の移動や題名の変更が、目次や参照へ影響します。
同じ本文の修正が、別の参照の点検を必要とすることを一覧へ残してください。
紙版の原稿を、電子版へそのまま流用しない
紙版には印刷のための設定や、固定したページの配置が含まれる場合があります。
KDP公式でも、紙版を出版済みの場合は、電子版の書式設定に合わせて見直すことが案内されています。
確認事項はKDP公式の電子書籍の原稿の書式設定ガイドを参照してください。
共通の本文を利用しつつ、見出し、段落、画像、目次などの設定を点検してみてくださいね。
紙版で整っていることだけを、電子版の確認結果に置き換えないようにします。
制作する形式ごとに、必要な表示の確認を行ってください。
電子版だけで見つかった誤字も、共通本文へ戻す
電子版のプレビューで誤字に気づいた場合、その場のファイルだけ直すと、紙版に同じ誤字が残る可能性があります。
内容の修正なら、基準の原稿と修正一覧へ戻します。
紙版にも同じ内容があるかを確認し、必要な反映を行います。
表示の問題だけなら、電子版の設定として分けます。
どこで見つかったかと、どの版へ影響するかは同じではありません。
発見した場所だけを修正の範囲にしないようにしてください。
紙版の校正で見つかった変更を分類する
印刷用の確認で見つかった問題も、本文の誤りと、配置の調整へ分けます。
本文の語や数値を直すなら、電子版への影響も確認します。
余白やページ番号だけを直す場合は、紙版の設定として記録します。
図が読みにくい場合は、元画像の情報が不足するのか、印刷する大きさや色の問題かを分けます。
原因が分からない状態で、両方の図を同じ方法へ変えないようにします。
内容を保ったまま、各版に必要な調整を選んでください。
章の追加は、関連する案内も確認する
共通本文へ一章を追加した場合、目次、章番号、本文の参照、著者の紹介文などへ影響することがあります。
電子版では移動先、紙版ではページと表紙の制作条件など、必要な確認を洗い出します。
本文の追加が終わったことだけで、全部の案内が更新されたとは扱いません。
目次の名称や紹介文が、古い構成のまま残っていないかを点検しておきましょう。
実際の制作条件は原稿の状態と公式情報で確認し、ページ数や表紙の幅を推測で決めないようにします。
変更の影響を一覧にし、工程ごとの担当へ伝えてください。
同時に修正する人がいる場合の整理
複数の担当者が同じ原稿へ修正を入れる場合、使用する版と変更する範囲を共有します。
誰がどのファイルへ変更するかを決め、同じ内容を別々に上書きしないようにします。
受け取った修正案は、基準の原稿へ採用したかを記録しておくと、後の確認にも使えますね。
採用しない案があるなら、その判断も残します。
依頼先の作業完了と、あなた自身の内容確認。
この二つを分けて記録しておくと、どこまで確認できたかを後から見直せますよ。
やり取りの記録には秘密の認証情報などを含めず、原稿の版と確認事項を中心に共有してください。
納品ファイルを、用途ごとに特定する
電子版の制作ファイル、紙版の印刷用ファイル、表紙、編集できる元ファイルを分けます。
同じ名前で見分けにくい場合は、管理表へ用途と版を記録しておきましょう。
確認したファイルと、実際に提出するファイルが同じかを照合します。
確認用の画像や古い原稿を、完成ファイルとして混同しないようにします。
提出するファイルの条件は、電子版と紙版の公式案内をそれぞれ確認します。
両方の制作物が届いたことだけで、内容と表示の確認が終わったとは判断しないでください。
公開された版と、作業中の版を区別する
手元の原稿を修正しても、すでに公開されている本が自動的に変わるわけではありません。
作業中の版、確認済みの版、提出した版、公開状態を分けて管理します。
実際の公開や反映は、管理画面や公式の案内で確認します。
結果が不明な場合は、同じ提出を繰り返す前に状態を調べます。
読者へ変更を案内する場合も、準備中の内容を反映済みとして紹介しないようにします。
版の情報と確認日を残し、何が読者へ届いているかを把握してください。
架空の修正一覧で、反映を確認する例
架空の原稿で、用語の誤字、電子版の目次リンク、紙版のページ番号という三つの問題が見つかったとします。
用語の誤字は共通本文の修正として、両方の原稿へ反映する対象にします。
目次リンクは電子版の制作ファイル、ページ番号は紙版の印刷用ファイルで確認します。
各項目に反映と再確認の欄を用意し、一つが終わってもほかの項目を完了にしません。
この例は実際の出版結果ではなく、修正の種類と対象を分けるための例です。
同じ方法で、あなたの原稿の修正一覧を作れます。
内容の照合と、表示の点検を別に行う
両方の制作ファイルで、共通の本文が同じ内容として残っているかを確認しておきましょう。
その後、それぞれの形式で読みやすさや配置を点検します。
文字数やページ数が同じかだけでは、内容の一致を判断できません。
章の題名、重要な数値、図の名称、変更した文章を重点的に照合します。
表示の確認では、電子版の移動や文字設定、紙版のページや印刷条件など、目的を分けて考えてみましょう。
共通の内容が一致したことと、両方の制作条件を満たしたことを区別してください。
一つの訂正を、各版へ反映する手順
管理の方法を試すなら、一つの本文の訂正だけを選び、最初から最後まで記録してみます。
例えば、架空の原稿にある用語の表記が誤っていた場合、まず正しい表記を確認し、根拠と訂正する場所を一覧へ書きます。
基準の原稿へ訂正を入れ、同じ用語がほかの章へ出ていないかを確認してみてください。
全箇所を機械的に置き換える前に、引用、正式名称、コードなど、表記を変えてよい範囲かを見ます。
次に電子版の原稿へ反映し、制作ファイルを更新する必要があるかを確認します。
紙版にも同じ説明があるなら、その原稿へ反映します。
この時点では両方へ反映した状態であり、表示の確認や公開の完了とは分けます。
電子版の新しい制作ファイルでは、訂正した文字と、目次や参照へ影響がないかを点検してみてくださいね。
紙版の新しいファイルでは、文字の訂正で行やページが動いたかを確認します。
行が増えて後の図や表の位置が変わった場合は、その箇所も点検の対象へ追加します。
確認が終わった版は確認済みにし、確認していない版はそのまま残します。
両方の確認が終わってから、提出や公開の対象となるファイルを特定します。
提出する工程が別の担当者にある場合は、ファイル名と版、確認済みの範囲を伝えます。
この一つの訂正を追う練習で、どの段階の状態を記録していないかが見えてきます。
作業を増やす前に、反映と確認の欄を用意しておくと、修正が多い原稿にも同じ方法を広げやすくなります。
版ごとの調整が、本文を変えていないかを見る
配置を整えるために文章を短くする場合、それが共通本文の変更か、版だけの表現の変更かを判断します。
紙版の一行を減らすために必要な条件を削ると、電子版と説明の意味が違う場合があります。
短くしても意味を保てるなら、共通の原稿にも採用するかを検討できます。
その版だけの案内なら、対応する版の表現として記録します。
例えばページ番号を章名へ変えることと、注意事項の内容を減らすことは、同じ修正ではありません。
表示の都合で変更した箇所も、文章として読み直し、読者へ伝える条件が欠けていないかを確認してください。
図を分割した場合も、図の中にあった説明が落ちていないかを元の資料と照合します。
片方の版だけに追加した補足があるなら、その理由と対象を明示します。
同じ内容の本として紹介する場合、実際の範囲が一致しているかを確認し、違いがあるなら紹介の仕方も見直します。
作業が終わったら、変更一覧に未反映の項目がないかを確認しておきましょう。
一部の項目を今回は見送る場合は、その判断を記録し、完了した修正と混ぜないようにします。
原稿の状態を正確に残すことが、制作後の確認や次の改訂へつながります。
相談へ渡す修正の範囲を整理する
電子版と紙版の制作を相談する場合は、基準の原稿、各版のファイル、修正一覧を用意します。
共通の変更と、版ごとの調整を分けて伝えます。
未確認の素材や、判断が残る題名なども明示してください。
共通本文の修正を両方へ照合し、形式ごとの設定は別に点検することで、古い説明や未反映の箇所を探しやすくなります。
ナガーノの出版代行サービスの対応内容や申込み条件は、案内ページで確認できます。
あなたの原稿の版と、編集や制作で相談したい工程を整理して検討してください。