初めての出版で用意する資料とファイル一覧

出版を相談しようとすると、「原稿以外に何を用意すればいいのか」と迷うことがありますよね。
資料が全部そろっていなくても、今あるものと未定のものを分ければ、確認すべきことが見えてきます。
この記事では、原稿、画像、権利の情報、希望する仕様を、依頼や制作に使える形へ整理する方法をお伝えします。
原稿は、編集用と確認用を区別する
まずは、本文をどの形式で持っているか確認してください。
編集できる文書、ブログの本文、PDF、紙の資料では、その後の作業が変わります。
PDFしかない場合も、文章を取り出せるものか、ページが画像になっているものかを確認しておきましょう。
取り出した文章には、文字抜けや順序の崩れが起こる場合があるため、変換しただけで完成原稿とは扱わないことが大切です。
最新版が複数あると迷いやすいので、ファイル名に日付と版を入れ、依頼時に「今回使う本文」を一つ指定します。
元ファイルは残し、修正用のコピーを作って進めてくださいね。
画像は、本文の位置と出所をセットにする
写真や図を使うなら、画像ファイルだけでなく、どこで何を説明する画像なのかを記録します。
「図1、第2章の手順を説明」「写真2、用具の並べ方を示す」のように、本文と対応させましょう。
ブログに掲載した縮小画像しかない場合は、元の画像が残っているかも確かめます。
小さな画像を単に拡大しても、細部が読みやすくなるとは限りません。
紙の本なら、印刷した大きさで文字や線が見えるかも確認する必要があります。
| 画像ごとに残す項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| ファイル名と掲載位置 | 本文の説明と画像が一致しているか |
| 撮影者・作成者・入手先 | 誰が作った画像なのか |
| 使用条件 | 書籍への掲載が認められているか |
| 元の画像 | 必要な大きさで使えるか |
| 人物や機密情報 | 公開してよい情報だけになっているか |
出典と使用許諾は、本文と別の一覧にする
参考にした資料のURL、書名、著者、確認日などを、後から見直せる形で残します。
「ネットに載っていたから使える」とは決めず、文章や画像をどう利用してよいかを確認してください。
引用、転載、図の利用などは、必要な条件を個別に確かめる作業が必要です。
KDP公式のコンテンツガイドラインでは、出版に必要な権利を持つことや、AI生成コンテンツの申告について案内しています。
AIで文章や画像を生成した場合は、どの部分を生成したかも記録しておくと、出版時の確認に使えます。
この一覧へ、アカウントのパスワードなどを入れないでください。
作品の材料と、アカウントの秘密情報は、同じ提出ファイルにまとめないようにしましょう。
出版の希望は、決定済みと相談したいことに分ける
仕様のメモには、タイトル案、著者名、読者、希望する形式、表紙の方向性を書きます。
紙の判型や出版時期など、まだ決まっていない項目は「未定」と残して構いません。
「何でもお任せ」とするより、「落ち着いた表紙にしたいが色は相談したい」のように、希望と相談範囲を分けると伝わりやすくなります。
著者プロフィールに使う実績や資格も、正式名称と確認できる情報をそろえてください。
不明な数値や肩書きを、見栄えのために補わないことが大切です。
資料一覧には、ファイル名だけでなく役割を書く
原稿や画像をそろえたあと、ファイル名を並べるだけでは、どれを何に使うか伝わりにくいことがあります。
特に、参考用の見本と、実際に掲載する素材が混ざっている場合は、役割を明記してください。
「本文に使用」「表紙の雰囲気の参考」「事実確認の根拠」「今回は使わない過去版」のように分けます。
他の著者の本の表紙を参考として見せる場合も、その画像を制作素材として利用できるという意味にはしません。
どんな色や印象を参考にしたいのかを言葉で添え、権利を持つ素材と区別しましょう。
提出する資料の中へ使わないファイルが多く混ざると、確認や制作で取り違える原因になります。
元の資料を保存しつつ、今回使うものを一覧で指定することが大切です。
次は、資料一覧の書き方を示す架空例です。
| 資料 | 役割 | 状態 |
|---|---|---|
| 本文第3版 | 今回の制作に使う原稿 | 事実確認済み、表記は見直し予定 |
| 図01の元画像 | 第2章の説明に掲載する素材 | 使用条件を確認済み |
| 表紙の方向性メモ | 色と雰囲気を相談する資料 | タイトルは仮 |
| 古い本文の控え | 過去の説明を確認するための参考 | 制作には使わない |
確認済みという欄は、実際に確認した項目だけへ付けてくださいね。
原稿の内容を確認したことと、掲載する素材の使用条件を確認したことは、別の状態です。
原稿の最新版が複数あるときの整理手順
ファイル名に「最終」「完成」が付いていても、その後に別の修正があることがあります。
まず、候補の原稿を残したまま、章の数、内容、修正された箇所を比べてください。
更新日時だけでは、別の人が保存し直したファイルや、内容を変えずに出力したファイルを区別できない場合があります。
どの原稿を基準にするかを決めたら、そのファイルへ不足する修正を反映し、今回の版として保存します。
依頼先へ渡すときは、「今回はこちらを基準にしてください」と明記しましょう。
提出後に修正が発生した場合は、新しいファイルを送るだけでなく、前の版から何が変わったかを一覧にしてみましょう。
文章の訂正なのか、章の追加なのか、画像の差し替えなのかを分けると、反映先を確認しやすくなります。
全部を上書きしたから伝わる、と考えないことが大切です。
制作が進んでいる場合は、その変更がどのファイルや作業へ影響するかを相談してください。
最新版の指定と、変更点の一覧をセットにすると、古い原稿を使う取り違えを防ぎやすくなります。
ブログ記事を材料にするときは、本文と掲載情報を分ける
ブログの記事を本へ再編集するなら、記事URLだけを渡すより、どの本文を使い、何を確認するかを整理すると役立ちます。
タイトル、公開時期、更新時期、今回使う本文の範囲を記録してください。
ブログのメニュー、広告、関連記事の案内は、本文と同じ扱いにしません。
記事のどこからどこまでを材料にするのかを明確にします。
また、ブログの本文にある画像が、元の大きさで保存されているかも確認しましょう。
画面上で見えている縮小版しかないと、書籍の制作で再確認が必要になる場合があります。
記事中の時期限定の情報や、現在は変わった操作方法は、更新対象として別に記録します。
当時の文章をそのまま使ってよいかは、今の読者が誤解しないかを見て判断してください。
ブログで公開していることと、書籍へ利用する条件がすべて確認済みであることは同じではありません。
共同制作、素材の使用条件、掲載の取り決めなど、関係する事項を確認しておきましょう。
図と表には、本文の説明と一致する番号を付ける
ファイル名が分かっていても、本文に「下の図」としか書かれていないと、配置を変えたときに対応が崩れる場合があります。
図や表へ番号を付け、本文がどれを説明しているかを明確にしてください。
画像の一覧にも、その番号と掲載したい章を添えておきたいですね。
本文と画像を対応させるための手がかりになります。
図を追加したあと、番号を変更した場合は、本文の参照と画像一覧の両方を直しましょう。
表を画像として持っている場合は、文字を編集できる元の表があるかも確認します。
数字の修正や、電子と紙での表示調整に関係するためです。
図の中に文字がある場合は、表記、単位、説明の一致も見直してくださいね。
本文と図で、単位や数字はそろっているでしょうか。
本文だけ直して図に以前の数字が残っていると、読み手が判断しにくくなってしまいますよ。
掲載位置は、必ず同じページへ固定しなければならないという意味ではありません。
どの説明と組み合わせる必要があるのかを共有し、形式に合わせて制作時に確認します。
著者情報と紹介文の材料は、確認できる事実でそろえる
著者名の表記、プロフィール、紹介したい活動、書名の候補。
本文とは分けて、この材料も用意しておくと相談に使いやすいですね。
著者名を漢字、かな、ローマ字で表す場合は、どの箇所に何を使うかも確認してください。
本の表紙と販売ページで、別の表記になっていないかを見直す材料になります。
プロフィールに資格を載せたい場合は、正式な名称と、その情報を確認できるものをそろえます。
実績の数を載せるなら、何を数えた数字か、いつの時点かを明確にしてください。
確認できない肩書きや数値は、制作側へ推測して足してもらうものではありません。
不明な場合は未確認として残し、確認できる活動内容を伝えましょう。
紹介文の材料には、対象読者、扱う内容、読後に考えられることをまとめます。
売上や信頼の向上を保証する文を加えず、本の中に実際にある説明を具体的に伝えるための資料にします。
仕様のメモは、希望と確定を別の欄にする
電子書籍、紙の本、同時出版などの希望を書いたあと、まだ決まっていない事項を分けてください。
紙の本なら、判型や用紙などの仕様が制作へ関係します。
希望がある場合は理由も添え、決定済みではないものを確定事項のように伝えないようにします。
表紙についても、「この色を必ず使う」と「このような落ち着いた印象にしたい」は、異なる依頼です。
文字の表記が確定している部分と、相談したい部分を分けましょう。
制作条件は、KDP公式の書籍フォーマット案内で、選ぶ形式の項目を確認します。
テンプレートや提出用ファイルの条件を、別の形式の案内から流用しないことが大切です。
まだ条件を決められないときは、図や表が多いか、読者がどんな場面で使うかも相談材料にできます。
「仕様は未定」という状態でも、決めるための材料はそろえられますよ。
送付前には、ファイルが開くかと、中身の版を確認する
ファイル名をそろえたあと、実際に開いて内容を見ます。
原稿が空になっていないか、画像が別のものではないか、古いコメントや作業用の伝言が残っていないかを確認してください。
編集できる原稿と、完成の見た目を示す確認用ファイルを両方用意する場合は、同じ版から作ったことも確かめます。
内容が違う二つのファイルを渡すと、どちらを正しい状態として扱うか分からなくなります。
画像の点数は、一覧と実ファイルが一致するかを確認しておきましょう。
送付方法や対応する形式は、依頼する作業に合わせて確認しましょう。
一般的に開ける形式であっても、制作に使う形式として適しているかは別の確認です。
受け取った側が内容を判断できるように、今回使う版、資料の役割、未確認事項を短い案内にまとめてください。
資料が不足しているときは、提出を二段階に分けて考える
相談に使う資料と、実際の制作に使う資料は、必ずしも同じ状態ではありません。
最初の相談では、原稿の一部、文字量、画像の点数、希望する作業を伝え、必要な確認を整理する方法があります。
その後、制作に使う最新版と、必要な素材をそろえます。
どの段階でどの資料が必要かは、依頼先へ確認してください。
不足があるのに完成した原稿として渡すより、「本文は確認済みだが、画像の使用条件は確認中」と伝えるほうが、進め方を決めやすくなります。
不足の欄には、何が必要か、誰に確認するか、どの作業へ影響するかを書きます。
資料がそろうまで進められない作業と、先に確認できる作業を分けて相談しましょう。
提出後の確認に備えて、同じ資料の控えを残す
最後に、何を渡したか分かる控えと、送付した版の一覧を残します。
制作中に質問が来たとき、手元で別の原稿を見ながら答えてしまうことを避けるためです。
追加の資料を渡した場合も、前の資料を置き換えるものか、参考として増やすものかを明記してください。
提出したこと、受け取ったこと、制作へ反映したことは、それぞれ別の状態として記録します。
確認を受けて内容を変えたら、新しい版を指定し、どの箇所へ反映してほしいかを伝えましょう。
この小さな記録があれば、資料の準備から制作の確認まで、同じ内容を基準にして進めやすくなります。
提出前の一覧を一枚にまとめる
最後に、次の項目へチェックを付けてみましょう。
- 今回使う原稿のファイル名と版が分かる
- 画像と本文の対応が分かる
- 出典と使用条件の未確認箇所が分かる
- タイトル案と著者名を確認できる
- 希望する形式と未定の仕様が分かる
- 自分で進めたい作業と依頼したい作業が分かる
ナガーノへ相談するときも、この一覧があれば、形式変換、表紙、紹介文、原稿作成などの作業を整理しやすくなります。
必要な形式や提出方法は、依頼する作業に合わせて確認してくださいね。
資料を全部そろえることだけを目標にせず、「何があり、何が未確認か」を相手が判断できる状態にしましょう。
今ある原稿の最新版を一つ決めるところから、資料の整理を始めてみてください。